「薄めすぎたかも。飲ませて大丈夫だった…?」

その不安を抱え、ここに来てくださったんだと思います。少し薄まった程度なら、多くの場合すぐに心配しすぎなくて大丈夫です。

ただ「どのくらい薄かったか」と「今の赤ちゃんの様子」によって、判断の仕方が少し変わります。わたしも深夜の調乳で何度も迷いました。今夜の不安が少しでも整理できるよう、まとめています。

この記事でわかること

  • 「少し薄い」「かなり薄い」別の、判断の目安
  • 飲ませた後に確認したい赤ちゃんの様子
  • すぐ相談すべき症状と、使える相談窓口
  • 新生児期に特に気をつけてほしいこと

「少し薄い」と「かなり薄い」どこで判断が変わる?

まず知っておきたいのは、「どのくらい薄かったか」で対応が変わるということです。ほんの少し多かった程度なのか、明らかに薄すぎたのか。その境目によって、様子を見ていいのか、作り直したほうがいいのかが分かれます。ここでは、その目安を整理します。

「少し多いかも」程度なら、気にしすぎなくて大丈夫

「もしかしたら水が多かったかも」と感じる程度なら、多くは、過度に心配しなくて大丈夫です。規定量の水、またはお湯を注いだつもりだけど、よく見たら少し多くなっちゃった…その程度の差なら、大きな影響はありません。

毎回どうしても失敗する、というような場合は対策を考える必要もあるかもしれませんが、ミルクを飲んだ後の赤ちゃんがご機嫌で、体調にも何も変化がないようなら、必要以上に悩む必要はないでしょう。

「これは完全に薄めすぎた」と感じるなら、飲ませない方が無難

「少し」ではなく「かなり薄くなっちゃった…」と感じる場合には、そのミルクは飲ませず、作り直すほうが安心です。これは味の問題などではなく、赤ちゃんの体調に影響するおそれがあるためです。

もったいないと感じてしまうかもしれませんが、後になって「本当にあげて平気だったかな…」と不安になってしまうのは、親側の精神状態にとっても良いものではありません。もし飲ませるか迷ってしまう時は、飲ませない安心を選択しても良いと思います。

飲ませた後、赤ちゃんのどこを見ればいい?

もう飲ませてしまったあとでも、できることはあります。薄かったかどうかを今から変えることはできませんが、赤ちゃんの様子を見て、落ち着いて対応すれば大丈夫なことがほとんどです。どこを見て、どうなったら相談すればいいのか、順番に見ていきましょう。

ご機嫌で普段通りなら、まずは落ち着いて様子を見る

まずは赤ちゃんの機嫌を確認してみましょう。いつもと変わらずご機嫌で、おっぱいやミルクの飲みも普段どおりなら、過度に心配せず様子を見て大丈夫です。

見るポイントは、機嫌・ミルクの飲みっぷり・おしっこの回数あたり。これらがいつもどおりなら、まず問題ないことがほとんどです。目安として、次の授乳のころまで変わった様子がなければ、ひとまず安心してよいでしょう。次のミルクから、正しい分量で作れれば十分です。

嘔吐・けいれん・低体温・元気がない時はすぐ相談

以下のような様子が見られた場合は、医療機関に相談してください。

  • 嘔吐や痙攣などの体調不良
  • 食欲不振、低体温なども注意
  • いつもよりぐったりしている、呼びかけへの反応が弱い

深夜に体調が崩れた時には、子ども医療電話相談(電話:#8000)へ相談する選択肢もあります。地域によって受付時間帯が異なる可能性があるので、事前に調べておくのもおすすめです。

気になるけど判断に迷う時は、メーカー相談窓口も使える

「体調不良とまではいかないけど、なんとなく気になる、、、」

そんな時は、粉ミルクのメーカーが無料の相談窓口を用意しています。使っているミルクのメーカーに関わらず、専門のスタッフが対応してくれます。不安が続く時は、気軽に相談してみてください。

ミルクの銘柄(メーカー) 相談窓口 電話番号 受付時間
ほほえみ など(明治) 明治 赤ちゃん相談室 0120-035-553 月〜金 10:00〜15:00(第3火曜・土日祝を除く)
はぐくみ・E赤ちゃん など(森永乳業) エンゼル110番 0800-5555-110 月〜金 10:00〜14:00(土日祝・年末年始を除く)
ぴゅあ など(雪印メグミルク) お客様センター 0120-301-369 9:00〜17:00(年中無休)
すこやか など(雪印ビーンスターク) お客様センター 0120-241-537 9:00〜17:00(土日祝・年末年始を除く)

※受付時間は変わることがあります。おかけになる前に、各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

薄すぎるミルク、赤ちゃんの体にどんな影響があるの?

ここからは、薄いミルクが体にどう影響するのかという仕組みの話です。不安をあおるためではなく、「なぜ気をつけるとよいのか」を知っておくと、これからの調乳で落ち着いて向き合えるからです。仕組みが分かれば、必要以上に怖がらずにすみます。

栄養が薄まり、必要なエネルギーが不足しやすい

粉ミルクは「準完全栄養食」と呼ばれており、赤ちゃんに必要な栄養素が、母乳の成分に近い濃度で作られています。赤ちゃんにとって吸収しやすい濃度になるはずの設計が、粉ミルクと水の割合を間違えてしまうと変わってしまうのです。

粉ミルク100mLあたりの栄養成分(明治ほほえみの場合、13.5%調乳液)

栄養素 100mLあたり
エネルギー 68 kcal
たんぱく質 1.50 g
脂質 3.52 g
炭水化物 7.79 g
カルシウム 51 mg
0.81 mg
DHA 14 mg
ビタミンC 9.5 mg
ビタミンD 0.88 μg
食塩相当量 0.049 g

出典:明治ほほえみ粉ミルク800g 栄養成分表示(メーカー公式)

この表の一つひとつが、水を増やしすぎると薄まっていきます。とくにエネルギー(カロリー)やたんぱく質は、赤ちゃんの成長に直接かかわる部分です。薄いミルクが続くと、体が必要としているこれらの栄養が、少しずつ足りなくなっていきます。

体内の水分バランスが崩れてしまう可能性

赤ちゃんの身体は発達途中のため、大人に比べて体内の水分量の変化に敏感です。

理由のひとつが、腎臓のはたらきがまだ未熟なことです。腎臓は、体内の水分やナトリウムの量を調整する臓器ですが、赤ちゃんではこの調整する力が大人の6割ほどしかありません。そのため、極端に薄まったミルク(=水分が多すぎるミルク)が入ってくると、体の中のナトリウムが薄まり、水分バランスが崩れてしまうことがあります。

特に、腎臓の機能がより未熟な低月齢児は注意が必要です。※出典④⑤

本当に注意したいのは、1回の失敗ではなく「慢性的なミス」

薄めすぎたミルクがもっとも危険になるのが、その失敗が慢性的であり、かつ無自覚であることです。1回うっかり薄くなった程度と、繰り返し薄いまま与えるのとでは、話が変わってきます。過去には、本来の2倍ほどに薄めた人工乳を複数回続けて与えたことで、生後2か月ごろの赤ちゃんがけいれんを起こした症例が、日本国内の小児保健の研究でも報告されています(血液中のナトリウムが薄まりすぎたことが原因でした)。※出典①

アメリカの小児科学会(AAP)やCDCなどの海外の医療機関からも、ミルクを薄めて与えることへの注意喚起が出されています。※出典②③

このような話をきくと、ミルク作りの失敗が怖くなってしまうかもしれません。しかし、薄めすぎてしまったかもしれないと気付き、安全性や対処法を調べている時点で、そのような危険な状況からは、すでに遠ざかることができています。「次は気をつけよう」と思えていることが、大切なことなのです。

温度のほうで「やっちゃった」と感じた時は、こちらも読んでみてください。→ 粉ミルクを70℃以下で作ってしまった。どうしたらいい?

新生児〜生後2ヶ月ごろは、特に気にしてほしいこと

ここまでは月齢を問わない一般的な話でした。ここからは、影響を受けやすい新生児〜生後2ヶ月ごろに絞ってお伝えします。この時期だけは少し丁寧に見てあげたい、という内容です。

身体の水分調節がとっても未熟

生後2ヶ月以下の赤ちゃんは、身体の機能がまだまだ未熟です。この時期は体内に入る水分量の変化に、身体が反応しやすいと考えられています。

1度のミスが問題になることはほとんど無いようですが、体調の変化には気をつけてあげましょう。

泣いていても大丈夫、丁寧な調乳を優先しよう

「泣いているから早く作らなきゃ、、、」という気持ち、すごくよくわかります。でも、ここは考え方を変えて「待たせたとしても、きちんとした栄養補給をさせてあげよう」という気持ちで行動してみるのはどうでしょう?

少し時間がかかっても分量に気をつけて調乳する、それが赤ちゃんの成長を支えることに繋がります。

ちなみに調乳でもうひとつ迷うのが「お湯の温度」。理由がわかると、ここも迷わなくなります。→ 粉ミルクはなぜ70℃以上? お湯を沸騰させる理由と、100℃との使い分け

「丁寧に調乳したい」と思っても、毎回お湯の温度がバラバラだと、湯冷ましの量もそのつど変わり、結果として分量も狂いやすくなります。いつも同じ温度のお湯が出れば、足す水の量も一定になり、調乳のばらつきが減ります。同じ温度のお湯がすぐ出るウォーターサーバーは、迷う要素をひとつ減らしてくれる選択肢です。→ ミルク作りに向くウォーターサーバーの選び方・3社比較はこちら

本当に大丈夫かな…?|晴れない不安との向き合い方

体調の確認のしかたは、ここまでで整理できました。それでも、「本当に大丈夫かな」という気持ちが残ることはあります。ここからは、その晴れない不安とどう向き合うか、考え方を一緒に整理していきます。

栄養が足りなければ、赤ちゃんが教えてくれる

赤ちゃんや子どもの生存本能は、大人よりも優秀だったりします。もしこのような状況で栄養が足りなければ、赤ちゃんが泣いてお知らせをしてくれることもあるでしょう。

飲みきって満足しているようなら見守ってあげて、もし、いつもより早くぐずり出すようなら、今度はちゃんとした分量のミルクを心がけましょう。

親として大切な関わり方、泣いている理由を想像する

赤ちゃんの「お腹が空いた」というお知らせを、受け取る準備をしておくことも大切です。赤ちゃんには、一日の中でさまざまな泣く理由があります。その理由を毎回ぴったり当てるのは、育児に慣れてきても簡単なことではありません。

「なぜ泣いているんだろう?」と、常に考え向き合ってあげることが、わたしたち親の大切な役割の一つだと思います。

「なぜ泣いているんだろう」と向き合うときのヒントは、泣き方を正確に聞き分けることより、わが子を見つめ続けること。その「観察」という関わり方を、こちらで掘り下げています。→ 赤ちゃんの泣き方に種類はある?聞き分けより楽になる「観察」という関わり方

ひとりで抱え込まないで。ミルク作りが辛いと感じたら。

育児とは、それ自体がとても大変なことです。ミルクも、正しい分量で作れるのが理想ですが、うまくいかない時はあります。

寝不足だったり、時間がなかったり、焦る状況だったり、ミスする要因がたくさんあります。そんな中で頑張っているわけですから、間違えてしまっても、自分を許してあげましょう。

ミルクだけでなく、夜の育児そのものが辛いと感じる夜は、こちらも。→ 寝かしつけが嫌い、と感じる夜に|自分を責めなくていい理由

相談できるところは用意されています

もしも、

深夜のミルク作りが辛い

泣き声を聞いているだけで苦しくなる

そんな状況だったら、勇気を出して下記に相談してください。

  • 自治体の母子保健窓口(市区町村の保健センター)——保健師さんが育児全般の相談にのってくれます
  • よりそいホットライン(0120-279-338|24時間・通話料無料)——子育てに限らず、どんな悩みも聞いてくれる電話相談です

あなたの話を聞いてくれる場所は用意されています。

まとめ

粉ミルクを薄く作りすぎてしまった時どう対応するか。

  • 「少し多いかも」程度なら、次から気をつければ大丈夫
  • 「完全に多すぎた」と気づいたなら、そのミルクは飲ませず作り直す
  • 飲ませてしまったなら、様子を観察。ご機嫌ならOK、嘔吐・けいれん・低体温などを確認したら医療機関へ
  • 本当に気をつけたいのは「慢性的・無自覚な薄めすぎ」。なので、ミスに気付けているなら大丈夫
  • 粉ミルクに関して迷うことがあったら、メーカーの相談窓口へ

育児にちょっとしたミスは付き物です。間違いに気づいて、次につなげようとしていることが、ちゃんと取り組んでいる証拠です。赤ちゃんとあなたの未来のために、少しずつ進んでいきましょう。

夜の育児の悩みを解決する記事を、地図のようにまとめました。
赤ちゃんとの夜を、すこし楽にする育児ガイド|準備・寝かしつけ・夜中のミルク・泣きの地図

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出典
※出典① 小林朋子ほか「無熱性けいれんを主訴に来院した水中毒の2症例」小児保健研究 第65巻4号(2006年)
※出典② American Academy of Pediatrics(AAP)「How to Safely Prepare Baby Formula With Water」HealthyChildren.org
https://www.healthychildren.org/English/ages-stages/baby/formula-feeding/Pages/how-to-safely-prepare-formula-with-water.aspx
※出典③ CDC「Infant Formula Preparation and Storage」
https://www.cdc.gov/infant-toddler-nutrition/formula-feeding/preparation-and-storage.html
※出典④ MSDマニュアル プロフェッショナル版「新生児の低ナトリウム血症」(乳児用人工乳を希釈しすぎると水中毒を起こす可能性がある、と記載)
※出典⑤ 「腎機能の生後発達」日本小児腎臓病学会誌 Vol.26 No.1(最大尿濃縮能:新生児800/成人1400 mOsm/kg)

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育児のしんどさも、じわっとくる楽しさも、どちらも知っている。その経験をもとに、深夜の調乳・夜泣き・眠れない夜に役立つ情報をまとめています。もっと、「育児が楽しい」と感じてもらいたくて。