「今夜も、また終わらない…」

わが子を抱っこしてから、どのくらい経つのでしょうか。

やっと寝たと思ってベッドに下ろそうとすると、再びはじまる泣き声。腕もしびれている。「もう嫌だ」と思った時、自分のことも少し嫌になる。

寝かしつけが嫌い、と感じているあなたに、まず伝えたいことが。

あなたは、なんにも悪くありません。

嫌いと感じることは、それだけ頑張って、毎晩向き合ってきた証拠です。

この記事でわかること

  • 寝かしつけが嫌いでも、あなたは間違っていないということ
  • イライラしていても、赤ちゃんにちゃんと届いているものがあること
  • 「嫌い」と思いながら過ごす夜にも、ちゃんと意味があること
  • つらいとき、一人で抱えなくていいということ

「寝かしつけが嫌い」と感じることは、おかしくない

育児の中で、寝かしつけほど「終りが見えない」と感じるものはないかもしれません。

日中の様子を見て「もしかしたら今夜は早く寝てくれるかも?」と思っても、いざ夜になるとその期待は裏切られる。

2〜3時間が、無意味に過ぎ去るように感じてしまう。

「もう嫌だ」「なんで寝てくれないの」「自分の時間が欲しい」

そんな気持ちが湧いてきます。

「こんな風に思うなんて、親の才能が無いのかな…」

いいえ、そんなことありません。

思い通りにならないことが毎日繰り返され、心身の疲労は溜まっていくばかり。

しかも、こんなに頑張っているのに、だれも褒めてくれなかったら?

もしそうなら、嫌に感じるのは当然です。

ある調査では、0〜2歳の子を持つ親のうち6割以上が「寝かしつけに悩んでいる、または悩んでいた」と答えています。

なんとなく安心しませんか?

あなただけではないのです。

「嫌い」の正体は、何だろう

私たちが寝かしつけを「嫌い」と感じてしまうのはなぜでしょう?

今回はあえて、寝かしつけのイヤな部分を上げてみましょう。

  • いつ寝るのか、はっきり分からない
  • 寝たと思ったら起きてがっかりする
  • 腕が限界なのに、置けない
  • 早く家事を片付けたいのに、できない
  • イライラしている自分が嫌になる

どうでしょう、当てはまることはありますか?

共通しているのは「思い通りにならない」という感覚かもしれません。

子供をもつと、思い通りにならないことが一気に増えます。ご飯も、お風呂も、眠りも、全部が「赤ちゃんのペース」に合わせていく。それは、意思の強さや愛情の深さとは関係なく、誰にとっても消耗することです。

たぶんなのですが、わたしたちが「嫌い」なのは寝かしつけなのではなくて、「過度に消耗している状況」なんだと思います。

この「消耗している」という事実を、自分のために、まずは認めてあげてほしいです。

心の中の「早く寝て」は、赤ちゃんには届かない

「怒鳴ってしまった」「イライラして、冷たくあたってしまった」

心のなかで「早く寝て!」しか考えていない自分に、自己嫌悪。

子供が寝てから「ごめんね」と後悔したことが、あるかもしれません。

少し安心してほしいことがあります。

心の中の「早く寝て」は、子どもには届いていません。

届いているのは、あなたが傍にいてくれていること、体温があること、声があること。

「今日も一緒にいる」という事実は、赤ちゃんにきっと伝わっているはずです。疲れ果てて、クタクタでも、毎晩あなたが寄り添っていることは、赤ちゃんにとって特別なことなのです。

「つらいよー」「ねむいよー」「もうやだよー」

心のなかで、そう繰り返しながらでも良いんです。

ネガティブな言葉を抱えていても、傍にいることには意味がある。そう思えると、いつもの寝かしつけが、少しだけ楽なものになるかもしれません。

(「赤ちゃんの泣き方に種類があるって本当?」と思った方はこちら → 赤ちゃんの泣き方の種類と意味を解説した記事)

「嫌い」でも、確かに積み重なる信頼

心理学的な効果

寝かしつけの時間は、親にとってはしんどい。でも、子どもにとっては、とても重要な時間かもしれません。

毎晩、「泣いたら来てくれた。抱っこしてくれた。声を聞かせてくれた」という体験が積み重なっていくことで、子どもの中に「この世界は安心だ」という感覚が育まれていきます。

心理学に「応答性(レスポンシブネス)」という考え方があります。子どもが求めた時に応えてもらえるという繰り返しが、信頼感や安心感の土台を作っていくという考え方です。要するに「大変な寝かしつけ体験」は、親子の大切な信頼関係をつくるのではないか、という考え方です。

「嫌いなままでも」将来につながる行動

あなたが「寝かしつけ嫌い」と思いながらも毎晩そこにいることで、子どもは「この世界に、信じられる人がいる」と学んでいるのかもしれません。

「嫌い」という感情があったとしても、「大切にしている」という行動が、そこには確かに存在しています。

あなたが毎晩続けていることは、数年後の関係性を育んでいる可能性があります。

今はまだ、手応えがないかもしれません。でも、何かが積み重なっています。今夜も「嫌だな」と思いながら抱っこしているあなたの頑張りは、親子の絆へと育っていくのかもしれません。

寝かしつけを、少しだけ楽にする

感情の話が続いたので、ここからは実用的なことも少し。「これをやれば必ず寝てくれる」という魔法のような方法は、残念ながらありません。子どもによって、月齢によって、日によっても反応が変わります。それを前提に、参考になりそうなことを並べてみます。

寝る前のルーティンを「なんとなく」でいいので作る

お風呂のあと、電気を暗くして、同じ歌を歌う。毎日ぴったり同じでなくていいのですが、「これをやったら寝る時間」という流れがなんとなく定着すると、子どもが自分で体を落ち着かせていくことがあります。完璧なルーティンでなくてもいい。「なんとなくそういう感じ」が続けばいいのです。

置く時に「お腹をさいごに離す」

抱っこで寝た赤ちゃんをベッドに置こうとした時、腕を伸ばした瞬間にぐずってしまうことはありませんか?いちばん密着しているお腹などを先に離すと、赤ちゃんが気づいてしまう可能性が高いようです。抱いている体勢をなるべく変えないように、お尻や背中からベッドに触れさせていきます。頭や脚も下ろせたら、ゆっくりお腹から身体を離すようにしましょう。

少しぐずっても、手でお腹を抑えてあげると、落ち着いてくれやすいです。それでも起きてしまったら、「まだ寝るタイミングじゃなかったか」と思うようにしましょう。

「今夜は一緒に寝てしまう」と決める夜を作る

この後食器を洗わなきゃ、部屋の片付けをしなきゃ。その使命感を忘れる夜があっても良いと思います。毎晩完璧に起き上がろうとしなくていいのであれば、「今夜は一緒に寝てしまおう」と意図的に決めるのもありだと思います。早く寝れば、きっといつもより早く起きられる。そうしたら、昨日の続きの仕事をしたら良いのです。「失敗した」ではなく「今夜はこれでいい」と考えることで、少し楽になるかもしれません。

一人で担わなくていい

寝かしつけがつらい理由のひとつに、「一人で担っている」という感覚があります。毎晩自分だけが担当で、パートナーは別の部屋にいる。それが当たり前になっていると、少しずつ疲弊していきます。

夜の育児を、母親がひとりで担っている家庭は今も少なくありません。「ワンオペ育児」という言葉が当たり前に使われること自体が、その表れなのかもしれません。

でも、夜のとなりにいる人が一人から二人になるだけで、変わることがあります。父親が寝かしつけに関わることは、母親の負担が減るだけでなく、子どもにとっても「二人のとなりが安心」という気持ちを育む経験になります。最初はうまくいかないこともあるかもしれません。それでも、協力して続けることで、きっと良い方へ変わっていきます。

もし今、一人で抱えている状況なら、まずパートナーに「一緒にいてほしい」と伝えることから始めてもいいかもしれません。

(「パパが嫌がられる寝かしつけ、なんとかなる?」と思った方はこちら → 13本目の記事で詳しく書く予定)

嫌だと感じながらでも良い、そこにいる意味

寝かしつけが嫌い。やりたくない。ネガティブな気持ちがあっても大丈夫です。

それでも毎晩がんばっているのは、本当にすごいことだと思います。

好きなこと・大変じゃないことは、誰でもできます。嫌いなのに毎日やるなんて、そうそう出来ることではありません。もしそうなら、自分をめいっぱい褒めてあげてください。

言葉や態度に出さない限り、赤ちゃんにはその気持ちは伝わりません。あなたが傍にいることで、体温を感じている、声を聞いている、手の温かさを心の奥で覚えている。

今夜の寝かしつけが、何年後かの「あなたの傍が好き」につながっているかもしれません。

手応えは無いかもしれないけど、見えない何かが積み重なっています。

この記事のまとめ

寝かしつけが嫌い。その気持ちは、隠さなくて大丈夫です。

嫌いだと感じるのは、それだけ毎晩向き合ってきた証拠で、あなたに親の才能がないからではありません。心の中で「早く寝て」と思っていても、赤ちゃんに届いているのは、あなたの体温と、声と、そばにいてくれるという事実のほうです。

今夜の「嫌だな」には手応えがないかもしれません。それでも、見えないところで何かが積み重なっています。それは何年か先の、親子の信頼につながっているかもしれません。

そして、ぜんぶを一人で背負わなくて大丈夫です。つらいときは、つらいと声に出していい。それを聞いてくれる人は、きっとどこかにいます。

今夜も寝かしつけに向き合うあなたへ。本当に、おつかれさまです。

※調査出典:ジョンソン®ベビー(Kenvue)「育児や寝かしつけに関する意識調査」2023年。0〜2歳の子を持つ20〜39歳の男女722名を対象に実施。